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【合体するぞ】令和最新モデル!? キングスライム型SESが登場

【合体するぞ】令和最新モデル!? キングスライム型SESが登場

な なんとSESたちが・・・!

SESたちが どんどん がったいしていく!

なんと キングSESに なってしまった!


SES業界では絶えず最新ビジネスモデルのSES会社が発生。短期間で多くの旧型を駆逐。入れ替わり、SES業界全体のバージョン更新が行われている。

のですが、どうやらその最新バージョン?の話です。今回の話はまだ確定情報は多くない、推測がメインの話と思ってください。 確定情報まで待つと、だいたいもう遅いんだわ。

考察する動機

タイトルの通りに多数のSES会社が、ひとつの巨大SESグループとして合体、現在も巨大化を続けているよ。と言う報告がいくつか寄せられており、また、私もそれらしきSESグループのホームページをいくつか確認できました。どうやらこれは新種のSESとみて良いだろうと思われます。

先々SES市場を席巻した際には間接的にこっちまで影響を及ぼしてくる可能性がありますので、今のうちになるべく考察しておき、先々の影響を推測したり、なにかあっても先回りできるようにしておきたいね。と、そんな動機、あとは単純な興味から、情報収集・考察をしてみました。


理解のためにまずは、SES業界の説明が必要。

な、話じゃったわ。

まずはSES業界・市場についてです。
『SES会社』は、各社が相互にメールなどで人材・案件のやり取りを行っています。(なんと大昔はFAXで行っていたという。そのくらい歴史がある構造) このやり取りは高効率化され、現在では『SESネットワーク』とも呼ぶべき、独特の業界構造へ進化しています。

現在のSES会社は在籍エンジニアの要望に沿ってエンジニアの派遣先を決めるタイプの会社が多いのですが、このタイプではエンジニア個人の要望が優先となるが故、会社全体の営業・技術的方針と言うものが存在しないことになります。(あったとして意味がないものになる。) 仮にSES、A社・B社・C社と3社あったとして、A・B・Cの間にほとんど差異はないことになります。

【飛ばしてよい解説】
ネットワーク内のすべての情報には、他のSES会社を経由することで、理論上全員がアクセスできるという事になります。A社が獲得できる案件とC社が獲得できる案件の間には差がなく、中間会社を挟んだ時点で会社の信用なども機能しません。案件を取れるかを決定づける要素は、主にエンジニア側の経歴書と言う事になります。

また、ネットワーク内の派遣単価には相場感がありますので、派遣単価も相違が出づらく、差別化要素となりづらいです。
近年のSES会社は派遣単価からエンジニアの給与額を算出する(派遣単価×70%など)タイプの会社が多いため、このパーセンテージがほぼ唯一の差別化手段・競争手段となり、パーセンテージの吊り上げ競争が起こっていたようです。

エンジニア側も、A・B・C社で参画できる案件が変わらない以上、他の悪条件を我慢する必要性がなく、ほんのわずかでも条件が良い方へ即転職。多数のSES専門ジョブホッパーが発生した模様です。

差異がないということは、基本的に合体するメリットは存在しない(特に有利にならない)ことになるのですが、現実に合体している訳ですので、そこには何らかのメリットが存在することになります。

SNSや営業さんなど、いろいろな人から目撃情報を集めてみたところ、いくつかの構造やメリットなどが推測出来てきたので、今日はその話をしてみようかなと。


キングSESの中核となるSES会社

先に『同種のSES会社同士ではほとんど差異が発生しない』と言う話をしましたが、SESネットワーク内には少なくとも大きく分けて2種~3種のタイプのSES会社が存在しています。そのタイプ3種を挙げます。(名前はワイが適当につけた)

①牧場型SES
派遣スタッフの採用活動・雇用をする役割のSES会社。SES営業の言う『人出し側』のSES会社と言いましょうか。先に例に挙げたA・B・CのタイプのSES会社です。IT業界では『稼働数』を増やすことでのみ売上・利益を増加させることができるのですが、『採用』を有利に行う事で『稼働数』を増加させるスタンスのSES会社ですね。詳しくは後述しますが特徴は営業機能の軽視または放棄。これまでのIT業界では営業機能を放棄したタイプのSESが大きく成長した例は無く、アベノミクス等の影響による市場環境の変化に乗って隆盛したと思われます。高還元スキームと非常に相性が良く、彼らを模倣してスタートする新規のSES会社も多かった印象です。平成末期に輝いたタイプであり、キングスライム以前の最新バージョンに当たります。

②ロースキルSES
未経験層を大量に採用し、未経験OKの案件へアサインする、『採用』『営業』どちらの機能も持つSES会社で、その組織構造は派遣会社に酷似しています。大量の未経験者をすべてエンジニアとして成長可能な案件へアサインするというのは営業的に極めて難しいことで、各社なにかしらのスキームでその問題を解決しています。(非エンジニア案件にガンガン派遣する・積極的に経歴を詐称するなど) ギリエンジニアの未経験OK案件と言うところでは、インフラ監視オペレーターへの派遣などが有名です。
【未経験者にCCNA取らせて監視オペに派遣】と言うスキームを開発して爆速成長した会社の設立時期は2000年だという事ですので、そのあたりを発生時期と考えても良いですし、他にもロースキル専門で有名な某グループはそれ以前からすでに存在していたようですので、さらに昔と考えても差し支えはありません。現在確認されているSES会社のバージョンの上では、最古のタイプのSES会社と考えてもよさそうです。

③エージェント型SES(営業会社型)
エンジニアよりもSES営業を積極雇用し、案件獲得を主眼に置いたタイプのSES会社です。こちらは『採用』ではなく『仲介』によって稼働数を増加させるスタンスのSES会社になります。
こちらの発生時期も2000年ころ。当時はまだIT業界に準委任契約と言う概念すらなく、商流を重ねる事への問題意識も低い時代でした。ゆえに、このような仲介専門の営業会社が多数成立できた訳です。おそらくはITバブル(ドットコムバブル)とその崩壊。それによる採用数の絞り込みなどもプラスに作用したのではないかと思われます。 
営業の弱いソフトハウス(当時はSESと全く同質)は彼らを頼り、社員を稼働させてもらう必要があったという感じでしょうね。 また、フリーランスのエージェントはこの③のタイプのSES会社が行う事業です。SES会社から人を借りることと、フリーランスに発注すること、全く変わりませんので。


近年発生の①牧場型SESは、この③エージェント型SESの存在を前提に、『営業機能を捨てる』タイプの進化をしたSES会社と言えます。

SESネットワーク内では高効率で人員・案件の情報伝達が可能であるため、ネットワーク内の別会社同士で、『営業』と『採用・雇用』を分業することができたという事ですね。この分業の結果、たとえば、高還元SESと言う業態が発生します。(初期の高還元SESの取引先を調べた際、この手のエージェント型SESがとても多かった)

牧場型は営業コストがかかりませんので、その分を給与や利益にすることができます。中間マージンの分売上は下がりますが、求職者が他社と比較するのは実給与額ではなく還元率や独自計算による額面額と言う方向に持っていきます。 高還元等のスキームについては需要があれば別途、各種SES会社のバージョンの違いを説明する記事の方に書こうかなと思います。

ともあれ、③エージェント型SESは、ネットワーク内の他のSES会社の人員を吸い上げ、さらに上位構造、SI業界や第三者評価業界、(エンジニアバブル期はWebサなども)に送る役割を果たしていました。

エージェント型SESが増えれば、エージェント型同士での競争が発生します。案件を取得することができても、外部からエンジニアを借りてこれなければ受注には至りません。しかしながら、マージンも抜かなければ会社を継続できません。

牧場型SESは、複数のエージェント型SESと付き合う事によって、エージェント達の案件を天秤にかけることができます。パートナー開拓に人員を割いているのはエージェント型SES側ですので、牧場型SESは待っていれば複数のエージェント型と付き合う事ができ、自動的に優位な立場に立つことになります。(SNSなどで牧場型SESに批判的なSES営業を見かけるのはこのため)

ここで、エージェント型SESに牧場型SESを買収するメリットが発生することになります。まだ多くのキングSESを確認出来てはいませんが、キングSESのコアになる会社には、このエージェント型SESが多いように見受けられます。どうやら、

【キングSESとは、SESネットワーク内の分業サプライチェーンを垂直に再統合する、垂直統合型M&Aであると言えるようだ。】

エージェント型SESをコアとするキングSESのほか、携帯販売ショップへの派遣が可能なSES会社がコアとなっているケースもありました。やはりその商流を活かして営業を担当する役割と思われ、キングSESの成立条件の一つに、垂直統合型の合体であるという事は言えそうな雰囲気です。


過去に似た事例

SES会社を買収しまくって、人材の確保。 

これ、SHIFTさんに酷似ですね。

SHIFTさんは基本的には評価ベンダーですので、SESの派遣先として有力な企業ではありました。SESからのリソースの確保を強化する為、SES会社を積極的に買収。すさまじいペースで巨大化。同時に収益も上がっていたという感じです。SHIFTさんの場合は自分たちで第三者評価案件を受注。主導する能力がありますので、キングSESとは明確に違いがあるのですが、『SES買いまくって成長。収益も順調』と言う流れがありましたので、これをベンチマークとする流れや、第三者への影響などもあったのかな....?


垂直統合することで生まれる新スキーム

このキングSES、合体に参加している各SES会社で、それぞれが採用活動を行うようです。 入り口をめちゃくちゃ増やし、どのルートで引っかかってもキングSESのリソースとなる構造ですね。これはかつての某V社に酷似したスキームなのですが、さすがSES業界。ただ旧バージョンを模倣しません。これらのSES会社の求人のほとんどは高還元トークだそうです。最古のSESの良いところと最新のSESの良いところを合わせた訳ですね。

さて。ここは推測。

キングSESのひとつの特徴として、前時代のSESとは異なり【人出しSES・人借りSES】両社の関係が強固であるという点があります。これにより、さらに分業体制を先鋭化。営業を親SESに集中することができます。これと高還元トークを組み合わせますと....。

【親SES】単価80万 → 【子SES】単価60万 → 【スタッフ】額面(?)42万(還元率70%として)  ※ 

※ここから社保・所得税などを引き、さらに会社負担分も引く。何なら待機時に手当も引く。とかがアリな数字なので、一般の会社の給与額面とは異なる。

と、マージンを引いたあとの売上額に還元率を掛けて給与を算出するという事が可能になります。このマージン20万は、旧型の高還元SESでは上位会社に取られていた分の利益になりますので、キングSESをグループ全体で1個のSESと考えた場合、旧型の高還元SESに対してマージン分の利益がプラスになる格好になります。

もしこうだとすれば、【キングSESは、近年まで最新バージョンだった高還元SESに対してさらに優位を取る最新バージョンのSES】であると言えるかと思います。  すごくね?


AIエージェントとのチキンレース

キングSESは巨大ですが、あくまでSESがくっついただけですので、スキルの平均値が高いという事は無さそうです。そうなりますと、恐ろしいのはAIエージェントの普及と、それとの競合です。主力と思われるエンジニアロースキル層、テスター、コールセンター人員、インサイドセールス代行人員なども、AIによる自動化が避けられない領域となっています。携帯電話の販売も、ルートがネット経由に移行しつつあり、減少の一途と考えられ...。(逆に発注者側は、今はこのあたりの人員を雇用したくないはずで、SES需要はむしろ旺盛と思われる。)

近い未来での競争激化が予想されています。他の需要を発掘し、(例えば工場派遣や警備員等)スライドは可能と思われますが、キングSESは巨大であるぶん、なおさら大きな対処が要求されると言う事になります。

この状況は、合体前から発生しているリスクですので、むしろAIエージェントの脅威が合体を促進させている可能性もあるかと思います。仮にそうだとしたら、合体により何をなそうというのでしょうか....?


真の狙いは上場後即Exit? による逃げ切り?

キングSESの最大の特徴はM&Aの多用にあります。

SES会社とM&A界隈の関係は、2015年以降に深くなっていった印象です。原因は時期的に、『商流規制強化によるSI案件へのルート途絶』『エンジニアバブルによる採用競争激化』などが考えられますね。事業継続が難しくなったと判断したSES会社は、M&Aによる自社の売却を検討します。 売り手のニーズの多くは『商流改善』買い手は『リソース確保』だったようです。キングSESの源流はこのあたりにありそうな雰囲気ですね。

2019年頃には、『SESを売却した成功者』の模倣が増えてきている様で、SNS上で、【SESで起業→M&Aで売却】までをサポートするコンサルを名乗るものなども発生。

さらに2020年以降には、上記を事業化した企業までもが登場してきます。

株式会社エンジンポット  

株式会社ユニークショット(SES総合研究所) 

会社規模で事業化までされるという事は、異業界からのSESへの参入はかなり人気があるようですね。聞いた話では、原材料費などが安定しない製造業などからの参入が多いとか。ほか、私が求人サイトを見てて多いと思ったのは、やはり携帯ショップへの派遣をされている会社さんでしょうか。不振のソシャゲ界隈からのSES参入の話なんかも聞きます。
うーん。なんかそれらの商流はSESでも活かされていそうですね。

当初からこの手の参入者のゴールはM&Aによる売却。短期間での逃げ切りを想定したものが多いと思われ、その場合は事業に継続性は不必要と言う事になり、先々のデメリットを承知で短期間に社員数を最大化する施策が選択されます。これらは買い手にとっては【質の悪いSES】と言う事になりますが、それらが少なくとも一時期は再現性を持って実際に売却に成功できていたものと思われます。

(買う方も買う方だが)このような詐欺的なスキームは長続きはしないように思われ、その結果、市場が悪化。単純に売却することが難しくなったとしたら。

一発で売却ではなく、上場することによって株価を上昇させ、株式を売却することで持ち分を手放せると考えたとしてもおかしくないかもしれません。上場維持基準が見直しになった?5年内にEXITするからいいんだよ!


間に合うか!?....ならば...、合体ッ!

しかし、上場などは簡単に実現できません。それに対してAIエージェントの普及は間近。残された時間は少ない可能性が高いです。加えてここまで、先々のデメリットを承知で短期間に社員数を最大化する施策を取ってきたとしたら、手元にあるのは時限爆弾付きのSES会社であるともいえます。 もしも、このような会社が世の中にたくさんあるとしたら?

合体し、売上を連結。毎年毎年売上と社員数が増えまくるモンスターSESを誕生させ、そのままの勢いで上場まで持っていく。この際、株を持たない子SESの経営層にはストックオプションや株の持ち合い等で上場・売却時の利益を確保してやり、完全に利害を共通化。キングSESグループ一丸となって短期間の上場EXITを目指す。

こうなることがあっても、おかしくはないよねー(棒)


今日の話の大部分はあくまで推測。

ですからね。外で【これで確定】みたいな話し方はしないように。いまのところの的中率は、70%くらいってとこじゃないかなあ。

高還元の時とは違い、『みんな早めに知っておいた方が良いな』と感じた理由としては、キングSESは未経験採用に積極的なスキームであると思われることです。新卒採用市場にも登場しうるタイプのSES会社と思われ。そうなりますとけっこうな範囲で猛威を振るう展開もあるのかなと。

内情についてはまだまだ不明ですので、実際の良し悪し、キングSESごとの個性や方針の違いなどもまだまだ不明です。新規の情報などございましたら、下記のXアカウントなどにお知らせ頂けますと幸いでございます。

寺野 克則(ITだけど営業視点のアカ)

@WjgotINrU14Z1fB

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