【SES不況対策にどうぞ】SES企業は非IT領域へ出店できる! 建設・介護へ横展開される『人材供給ビジネス』
SES会社を調べたはずなのに、建設の求人が出てきたぞ。
ChatGPTくんによる、企業調査(オススメ)
最近、新規で問い合わせを受けたのSES営業さんと打ち合わせをする前に、ChatGPTくんに相手の会社を調べさせています。
と言うのも、やっぱウソつき多いんすよ。
SES会社は自社の情報を盛ってより優良な企業に見せ、人を貸してもらおうとしたり、経験豊富な人員を多数抱えていると見せかける会社がけっこー多いです。
「優秀なエンジニアが多数在籍しています」「上位商流の案件をたくさん持っています」「チームでの提案も可能です」などなど、営業トークはいろいろ出てきますが、事前情報が何もない状態ですと、どこまでが事実なのかマジで分かりません。こちらも突っ込んだ質問ができず、お互いに会社紹介をして、「何かあったら連絡しますね」で終了。10分くらいで打ち合わせが終わるなんてことも、本当によくあります。
先に会社の細かい業態や文化にアタリをつけておけば、「こういう方針なので、こうなるとメリットあるってことですよね?」「この会社との取引が多そうですが、主力商流はこちらですか」と、具体的な話ができ、こちらも相手のメリットのあり方やニーズを推測して自社を語ることができます。
プロンプトでは、例えば、下記のようなものを入れています。
(出力を見て調査内容を更新して行っています。)
- 運営実態と運営期間、最低でも設立年月日
- 資本金
- 対外公表している社員数
- 厚生年金・健康保険の被保険者数
- 主な取引先
- 外部企業との資本関係
- 代表者の経歴
- 公開情報から想像される実際の業態
- その他、犯罪歴・反社チェック等を含む優先注意項目
この用途でのChatGPTくんは、寺野の事前予想をだいぶ上回る精度でした。
調査範囲が会社サイト、求人、法人情報、許認可、関連会社など、人間がやるより圧倒的に速く、網羅的です。
調査結果からの業態の推測の精度はまだ人間には劣りますが、読み取り方を人間が説明してやれば、それをローカルのファイルに記録し、『そのような業態とすればここはチェックすべきだ』と言う個別ケースにも対応し、自律的に収集してきます。だいぶおすすめ。
GPTくんが変わった情報を拾ってきたぞ?
そんな感じで、いつものように問い合わせのあったSES会社について、ChatGPTくんに調査を依頼しました。前述のように、GPTくんはその会社が実際にはどのような業態なのかを推測しようとします。
そんなGPT君が、珍しく『先に確認したい点がある』と、注意喚起してきました。
- 内装工事スタッフ
- 家具・内装の取付スタッフ
- 内装施工管理アシスタント
- 資材搬入、清掃、軽作業を含む現場研修
と言う求人が出ています。と。
なんでやねん。
SES事業をやめて建設会社になったと言うよりは、ITエンジニアの常駐事業とは別に、建設関係の人材を採用し、内装工事や施工管理の領域へ出し始めている、という感じ?と、チャッピーは推測しました。しかしその他は特段のコンプライアンス上の問題は見受けられず、ふつうのロースキル型SES。上記求人についてのほかは、「通常の確認を行えば取引検討可能」とチャッピーは結論付けていました。
建設業に対しての派遣は原則禁止されておりますが、そのあたりはギリギリ回避しているのかなーとか、「資材搬入、清掃、軽作業を含む現場研修」の実態がどんななのかなーとかは、ちょっと気になるところです。 まあ、基本的にはSES(※準委任)だから大丈夫。と言う話なのだとは思いますが。
求人は求職者に対して内容を偽って募集している訳でもないようですし。 PG募集と見せかけて『家電量販店』『コールセンター』『製造業派遣』みたいなよくあるSES求人と比較すれば全然ふつう。 また、こんなケース⇒ 2026.05.21 弊社名を使用した不審な求人について。 も、世の中にはありますので。この会社さんがどうこうというつもりはありません。
気になったのは別の部分です。
なんでSES会社が、建設人材を始めるのか。
最初は、たまたまこの会社が変わった多角化をしているだけだと思いました。そこで改めて似た事例を探させてみると、SESと施工管理人材を一緒に扱う会社はほかにもあります。逆に、施工管理派遣の会社がSESへ進出している例もある。さらに見ていくと、介護人材へ進出するSES会社まで出てきました。
どうも、横展開されているのはIT技術ではなさそうです。
なんかおもしろそうなことになってんじゃん?
人が余り始めた市場から、人が足りない市場へ
さて、引き続き、ChatGPTくんの調査能力を駆使していきましょう。
プログラマー0.94倍、建設系5~9倍
SES会社が建設方面へ進出する理由として、まず考えられるのは、単純に人材市場の需給差ですな。
2024年度の有効求人倍率(厚生労働省「job tag」より)を見ると、全職業平均が1.25倍であるのに対し、プログラマーは0.94倍。求職者一人に対して、求人が一件を下回っています。
一方、建設系はこんな感じ。
- 建築・土木・測量技術者:5.58倍
- 建設従事者:4.59倍
- 電気工事従事者:3.30倍
- 土木作業従事者:6.10倍
- 建設躯体工事従事者:8.56倍
職種によって差はありますが、プログラマー0.94倍に対して、建設系はおおむね5~9倍。
かなり大きな差がありますね。
注意点がいくつか。まず、システムエンジニア募集は2.57倍。
また、ハローワークの職業分類を基にした数字ですので、求人サービス系の統計とは大きく差があるはずです。(求人サービス系の統計をそのまま鵜呑みにしてはいけない理由もいくつか説明できますが、ハローワーク側ならば実際の値に近いという受け止め方も危険です。)
いずれにしてもSES市場そのものを正確に表しているわけでもありません。
ただ、方向性を見る材料にはなる。と言う理解が良いかと思います。

ロースキル中心のSES会社にとっては死活問題
未経験者やロースキル層を大量に採用し、客先へ配置してきたSES会社からすると、プログラマー側の0.94倍はうれしい数字ではないですよね。採用できても、配置先が決まらなければ売上にはならないからです。
さらに、この統計は2024年です。AIの普及などの影響が大きくなっていくのはこのあとです。現在(2026)のリアル市況感はえらいことになっている可能性がありますね...。(なお、寺野の観測範囲では、データセンターへの監視要員派遣は好調な模様)
その横では、建設会社が求人を出しても人が来ない。採用した人材を配置できる顧客が、ITよりもはるかに多く存在しているように見える。
人を採る機能はある。IT側では売り先を見つけづらくなってきた。建設側では、とにかく人が足りない。
そりゃ、建設に魅力もかんじるべな。
なお、ここで重要なのは、SES会社が建設技術を持っているかどうかではありません。では、いったい何を建設業へ持っていこうとしているのか。
次は、その部分を見ていきましょうか。
※数値は2024年度。厚生労働省「job tag」および建設雇用改善計画(第十一次)を参照。
横展開されるのは、IT技術ではなく人材供給機能の部分。
そこに人が足りない建設業がある訳ですので、進出したくなる理由は分かります。
しかし、ITと建設では必要な技術がまったく違います。SES会社が持っているプログラミング技術を、内装工事や施工管理で活かせるワケではありませんね。何か武器になるものがすでにあるから新規参入を考える訳です。
では、すでにある『何』を横展開するのか。
【採用 → 常駐配置 → 勤怠・稼働率・粗利管理】
【これ】です。
SES会社が持っている人材供給機能
SES会社は、求人を出して人を集め、その人材をアサイン可能な案件を探して常駐させます。配置後は勤怠や契約更新を管理し、待機者を減らし、稼働率と粗利を維持する。これが主となる機能の会社です。IT技術が強みの会社もあるかもですが、全くない会社でもSESは運営できますし、大きくなります。SES企業を構成する最も重要な機能は大量に人を採用し、それを客先へ配置し、稼働させる、ための経営機能という事になります。そしてこれは、ほぼすべてのSES会社がすでに持っているものです。
SESや人月ビジネスの仕組み自体は以前の記事でも説明していますので、ここでは省略しますが、中でも特に、ロースキル人材を大量に扱う会社ほど、この機能は強力です。
建設へ進出する場合でも、求人媒体の運用、応募者対応、未経験者の選考、雇用契約、給与計算、社会保険、勤怠管理、配置後のフォロー、稼働率や粗利の管理など、本社側の機能は相当部分をそのまま使えますし、採用能力に関しては一般的な建設会社よりも、むしろ高い可能性があります。
現在のSES会社が持つ【強み】を活かして新規展開する先としては決して悪くはないのです。
今回の会社さんの話ではありませんが、『ITエンジニア』で募集。 決まらないのでという事で『建設業界へSES派遣』こういうシナジーも発生させることが可能な構造でもありますね。家電量販店SESではありませんが。
新規の顧客開拓営業はどうするのか
ただし一つ問題が。
『どこに営業すんねん。』
SES会社同士の営業ネットワークの存在は、SESの営業コストを極小に抑えます。(派遣会社は、二重派遣NGの為、直接顧客開拓できる営業力が必要になる。)この点が、SES業態の会社が純粋な派遣会社に対して有利な部分です。
しかし、このネットワークは異業界では使えません。
建設会社へ改めて飛び込み営業し、一社ずつ配置先を開拓するのであれば、それなりに参入ハードルは高そうです。この問題はどうクリアしたのでしょうか....?
《ここから先は推測も交えた話》
どうやら建設業にも以前から、元請、協力会社、職人、一人親方をつなぐ業者間ネットワークのようなものがあるようです。
SESとそのままイコールとは言えませんが、オンラインの大規模なマッチングサービスなども存在しています。
例えば、建設業者向け受発注サービスの「ツクリンク」は、運営会社公表で登録事業者約12万社、協力業者募集約11万件。「助太刀」も、23万以上の事業者が利用しているとしています。
※リンクはこの章の最後に置いておきます。
サイト内を確認しましたところ、『1名規模で3カ月の発注』等の需要も流通していることに加え、『個人事業主歓迎』、なんてワードもあります。業者間の新規営業に利用することも可能なようで、下記の様に取引先開拓に利用することも可能です。(受注者・発注者、共に募集するんやな....。)

わりと似たような雰囲気でやってる感じもしますねぇ。とりあえず、営業コストをかけられないSES会社が参入できる理由はこの辺にありそうですね。
人を採用して配置する装置は自社にある。その装置が接続できそうな市場も、建設側にすでにある。
そう考えると、SES会社の建設進出は、見た目ほど無茶な多角化ではないのかもしれません。むしろ営業ハードルが低すぎるとした場合、SES会社が大挙して建設業界になだれ込む可能性はありますね。
この記事はそのキッカケになりかねない情報を扱っているという事になります。
こわいねえ...(棒)
※登録事業者数等は、ツクリンク株式会社および助太刀の公表情報を参照。
建設派遣の法的リスク。では、介護は?
SES会社による建設進出。イケんじゃね?と言う話をしてきましたが、ひとつ大きなツッコミどころがありまして...。
建設現場で直接行う作業には、原則として労働者を派遣できません。
建物を造る、修理する、壊すといった工事だけでなく、その準備にあたる作業も派遣禁止の対象です。
もちろん、工事を請け負うことはできます。その場合は自社が受注した工事の完成に責任を負い、自社が作業員へ指示を出す必要があります。またしても、SES会社の前に偽装請負問題が立ちはだかる訳ですな。
加えて、派遣を使わず自社で建設工事を請け負うなら、施工会社としての体制が必要です。さらに、軽微な工事を除き、工種に応じた建設業許可も必要になります。
人を採用して現場へ配置する機能だけでは足りず、施工会社としての機能まで作らなければなりません。そんなんITでもやってなかったんだから、やらないよね。かえってハードルがある。
そこで、施工管理。
施工管理は建設現場で働く仕事ですが、直接工事を行う建設業務には該当しないようです。設計、CAD、積算、現場事務なども同様のようす。なかでも施工管理は、現場常駐、月単位の契約、経験や資格による人材評価など、IT人材の常駐事業と形が近いようで、施工管理人材の採用・派遣がSESの建設業参入の入口になりやすいわけですな。
まあ、『アシスンタント』『スタッフ』『軽作業』『現場研修』みたいなワードを求人で見る以上、セコカンの話だけが流通している訳でもない様で。
この辺、【派遣じゃなく準委任だから大丈夫】とか、【あくまで支援であって、建設作業はしていません!】とか、いつものグレーな感じでよしなに行く感じもしなくもない。
--------------
では、介護はどうか。

介護職は、建設業務のように一律で派遣が禁止されている仕事ではありません。労働者派遣事業の許可を持つ会社であれば、介護職員を採用・雇用し、介護施設へ派遣できます。派遣に加えて、紹介予定派遣や有料職業紹介を組み合わせることもできる。
つまり介護では、
『採用 → 常駐配置 → 勤怠・稼働率・粗利管理』 という人材供給機能を、建設よりも原形に近い状態で横展開できます。
SES会社の進出例
実際に、SES会社側から介護人材へ進出した例もあります。
クルーズ株式会社は、SESを中心とするITアウトソーシング事業を主力とする企業グループですが、2025年2月に「介護福祉人材サービス事業」の開始を公表しています。内容は介護派遣を中心に、紹介・紹介予定派遣まで扱うものです。(リンク先に事業について説明するPDFもあります。)
公表資料によれば、2025年3月期第3四半期時点で介護施設における稼働スタッフ数は431人。先行投資中で赤字ではあるものの、同社は将来的にSES事業に並ぶ規模へ育つ可能性があるとして、追加投資の方針を示していました。時期から推測するに、AI普及によるメイン事業(SES)への悪影響が予想される為、あらかじめ多角化しておきたい。もしくはなにかのシナジーに期待したい。などではないですかね。
介護なら簡単という話ではありませんが、しかし、建設のように「現場の直接作業には派遣できない」という大きな制約はありません。
すくなくとも彼らはすでに介護人材派遣領域への新規展開を実行し、数百人単位の稼働まで持っていった。これは推測ではなく事実です。
続く、営業面のハードルに関しては完全に不明であったため、下記はAIくんに調査・推論してもらった内容です。
営業面のハードル
まず、SES業界(建設業も?)的な、ヤンチャなネットワークはおそらくないと思います。コストをかけた直接営業が必要です。
営業先となる介護施設・事業所は、厚労省の介護サービス情報公表システムに地域・サービス種別ごとに公開されています。営業リストの作成には困りません。直販営業のリソースを投入するか、アウトソースの利用も可能そうですね。営業リストあるし。
施設側の人材不足感は強く、2024年度の介護関係職種の有効求人倍率は3.49倍で、全職業より明確に高い水準にあり、人材紹介の様なコストのかかるルートでの採用も既に行われている模様。直接雇用よりもコストがかかる派遣の受け入れに対しての抵抗感も営業ハードルの一つですが、ある程度無視できそうです。
営業コストと派遣コストがどの程度ワリが合うのかはさすがに不明です。
クルーズの場合は東証スタンダード上場の企業という事もあり、営業リソースは有している、または、新たに雇用できる側のSES会社となりますので、一般中小のSES会社と同列に考えるのは難しいかもしれません。
クルーズは赤字を掘ってでも手を広げ、のちのち参画してくる競合他社に対して有利を取るなり、施設での構内請負の体制を確立して、そこにSESから人を借りてくる等の事業モデルを考えている可能性もありますね。
※建設業務の範囲と施工管理の扱いは、厚生労働省「建設業務労働者就業機会確保事業について」を参照。クルーズの事例は、同社の「介護福祉人材サービス事業」の開始についてを参照。
人月ビジネスだが、フィジカルAIによって代替されない需要
ここまでしてSES会社が建設(周辺?)・介護業界へ出店していく背景には、これもあるんじゃないかな...。

『フィジカルAIがブルーカラーの仕事を奪う』と言う話もありますが、建設・介護でそれが起きるのはおそらく相当先です。すくなくとも、AIがIT領域でプログラムやドキュメントの仕事を奪うのと比較すれば、かなり先と言っていい話と言えるかと思います。
建設現場は、工場とは違い、一品受注・一品生産です。土地、建物、天候、足場、資材、施工方法、参加する業者が現場ごとに異なり、工事の進行に応じて周囲の環境も毎日変わります。昨日まで通れた場所に資材が置かれ、床に段差ができ、別業者が隣で作業を始める。このような環境をひっくるめて汎用的に適応可能なフィジカルAI、ロボットの実現は相当先になると思いますし、相当高額になるでしょう。
介護施設に至っては、規格化された部材ではなく人間を扱う事になります。
体格、筋力、関節の動き、痛み、麻痺、認知機能、心理状態が一人ずつ異なり、同じ人でも日によって状態が変わります。移乗中に突然力が抜けることもあれば、認知症の利用者が予想と違う方向へ動くこともある。事故れば高額な賠償責任を伴う責任問題に発展しかねません。 要求される安全性も踏まえますと、フィジカルAIに要求される能力はかなり高いものとなり、当初は非常に高額なものになるであろうと推測できます。
しかし、介護施設における人員配置基準は、厚生労働省により定められており、各施設が入居者や利用者に対して適切なサービスを提供するための最低限の人数を規定されています。これでまず、『人件費を削減する』メリットが限定的になります。 加えて、介護報酬は公定価格です。『ロボットを使うから高くなります!』みたいな事が出来なさそうです。
全く不可能かはわかりませんが、すくなくともコストメリットを確保しづらそうな環境である印象は受けます。
SES経営層様向け:まとめ
ここまでの話を、SES会社の経営層様向けで、雑にまとめます。
SES会社は、建設業(周辺)に出店できる!
なんなら『介護SES』もあるぞ!

IT技術だけで建設や介護領域で戦える必要はありません。SES会社の真の強みはプログラミング技術だけではないからです。
SES会社の真の強みは、
【採用 → 常駐配置 → 勤怠・稼働率・粗利管理】
のスキームの洗練度。採用力や管理面のノウハウの存在です。考えてもみてください。
データセンター派遣・家電量販店スタッフ派遣・コールセンター派遣・一般事務・データ入力・倉庫軽作業・イベント/販売促進スタッフ・PCキッティング
これら、『本当にIT業界の商流か?』と言う案件に対しても昔から
やれてますよね!
建設業側には元請、協力会社、職人をつなぐ既存の取引市場があり、施工管理、CAD、設計、積算、現場事務など、派遣可能な周辺業務もあります。介護は直接業務そのものへ派遣でき、実際に数百人規模まで稼働させたSES企業も出てきました。 どちらも人手不足で、少なくともITの初級業務よりは、フィジカルAIによる代替に時間がかかりそうです。
だったら、IT市場の回復を待ちながらエンジニアを抱え続ける以外にも、人材供給装置を別の売り場へ接続するという選択肢はある。施工管理派遣を始める。CAD人材を育てる。介護派遣へ出る。建設会社を買う。介護事業者と組む。皆さんの会社規模と営業力に応じて、よしなにやってください。
ただし、この記事で確認できたのは、SES会社が建設・介護人材へ横展開できる構造があるというところまでです。
実際に人を採れるのか。教育できるのか。営業コストに見合うのか。事故を防げるのか。定着するのか。法令を守りながら利益を出せるのか。
そのあたりは、実際に出店する皆さんの仕事です。
ワイはやらんけど。
さあ! あなたもAIに負けない建設系(介護系)SESライフを!
駆け出しエンジニア様向け:まとめ
いやー、これもう。
『ITのポジションと見せかけて施工管理』みたいな求人には気を付けよう!!

ってなるわな。さすがに。
今回の求人の掲載企業さんは、『建設業のサブポジション的な求人』で、『それを希望する人を募集した』と言うだけですので、特に悪い点は無いです。普通です。
ですが、その他の求人は普通ではないかもしれません。もともとSES界隈の一部では、古くから下記のスキームがあったと思われます。(と言うか、ある。断言。)
採用しやすいノースキル未経験の採用
↓
募集職種(PG)で派遣先が無い
↓
販売・コールセンター・事務・キッティングへ配置
↓
稼働率を維持しつつ、IT案件へのスライドを待つ。
※待つ間も別の未経験は採用し続ける。
建設系SESの場合の問題点ですが、法令を守るなら当然、施工管理などの名目で派遣された人に、職人の建設作業を経験させることはできません。施工管理や建設現場の周辺業務の経験は積めても、それだけで大工、内装、電気、配管などの職人技能が身につくわけではありません。職人としての「手に職」を目指す場合には、別の経路が必要です。
この問題のクリアには、派遣的に建設作業に参加させるのではなく、自社が工事を請け負い、自社の指揮命令で施工する体制を作る必要があります。一定規模以上の工事を請け負うのであれば、工種に応じた建設業許可も必要になりますので、自社(SES会社)に取らせる必要があります。
あるいは、SES会社で広く浅く建設業界の情報を得たうえで、専門工事会社や工務店へ転職して職人側へ移る。
職人として手に職がついた状態へ到達するまでに、『ひと手間』が発生するわけです。
逆に言えば、『ひと手間』は問題が無い。まずは広く浅く建設業界に参入したい。情報を得た上でその先の判断をしたい。そういう目的であれば、まったく問題ないのではないかと思います。
いずれにしても、建設業は専門技能を持つ職人たちの世界であり、フィジカルAIの浸透も遅いであろう世界です。人不足度もガチで、プログラマーの0.94倍に対して、建設系は5~9倍。
IT業界ではなんだか虚飾の要素が強かった『技術で食える』『人不足はなくならない』って話ですが、こちらは現実の数字、現実の需給ギャップとなります。職人として、または施工管理職などで、本気で手に職をつけていきたい!と言う方にとっては、むしろオススメできそうな話って気もしますね。
変にIT職希望でロースキル案件に回されて、数年やって詰むよりも、こっちの方が良いかもしれないね...真顔で。
【本記事の注意書き】
※本記事は、2026年8月時点の公開情報をもとに、SES会社による建設・介護人材事業への参入可能性を考察したものです。個別事業者の適法性や事業性を評価するものではありません。労働者派遣、請負、建設業許可の扱いは、契約名称だけでなく、実際の業務内容、指揮命令関係、工種、請負金額などによって個別に判断されます。
【参考資料・参照先】
本記事は、主に以下の公開情報を参照しています。
建設業務・労働者派遣・建設業許可
- 厚生労働省「建設業務労働者就業機会確保事業について」
労働者派遣が禁止される建設業務の範囲と、施工管理、営業、経理事務などの扱いを確認するために参照。 - 国土交通省「建設業の許可とは」
建設業許可が必要となる工事と、許可を要しない軽微な建設工事の範囲を確認するために参照。 - 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」
派遣と請負の区分、指揮命令関係、契約名称ではなく実態によって判断されることを確認するために参照。 - 東京労働局「偽装請負について」
請負、委任、準委任などの契約を締結していても、発注者が労働者へ直接指揮命令している場合には偽装請負となり得ることを確認するために参照。
職種別の求人倍率
- 厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」
プログラマー、システムエンジニア、施工管理、建設・土木作業員など、各職業の有効求人倍率を確認するために参照。 - job tag「プログラマー」
- job tag「建設・土木作業員」
- job tag「土木・建築の仕事」
※job tagの統計データは定期的に更新されます。本記事中の数値は、記事執筆時に掲載されていた2024年度の全国値を使用しています。
建設業者・職人の取引市場
- ツクリンク株式会社「建設業マッチングプラットフォーム『ツクリンク』、登録事業者数が120,000社を突破」
建設業者間の受発注・協力会社募集市場の規模を確認するために参照。 - 助太刀「建設現場で働くすべての人を支えるアプリ」
元請、協力会社、職人をつなぐ建設業向けマッチングサービスの例として参照。
介護人材・介護事業
- 厚生労働省「介護人材確保の現状について」
介護関係職種の有効求人倍率、介護職員数、今後必要となる介護人材数などを確認するために参照。 - 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
全国の介護施設・事業所が、地域やサービス種別ごとに公開されていることを確認するために参照。 - 厚生労働省「サービスにかかる利用料」
介護保険サービスの利用者負担と、施設利用時の食費・居住費などの扱いを確認するために参照。 - 厚生労働省「介護現場の生産性向上等の推進」
介護報酬が公定価格であることによるAI・介護ロボットの投資負担、生産性向上、導入支援などの課題を確認するために参照。
SES会社による介護人材事業への参入例
- クルーズ株式会社「新規事業『介護福祉人材サービス事業』の開始について」
SESを中心とするITアウトソーシング事業から、介護派遣、紹介、紹介予定派遣へ進出した企業事例として参照。
書いた人…寺野 克則
技術的な話もするのでエンジニアと思っている人が多いけれど、実際には営業系の経歴。(Twitterも【寺野 克則(ITだけど営業視点のアカ)】と、営業系を押し出しているのに。サムネ画像の印象が強すぎるのか。) 商品は【会社の技術】なのだから、商材を知らなすぎる営業ってふつうはあり得ないんだよ。論外。 ITには20年くらいいて、その前は法人向け通信機器販売。アレ系。 転職回数がめちゃ多く、それによりさまざまな業態からIT業界を見ることに。サービス・人材派遣・人材紹介・SES・ソフトハウス。 派遣で工場行ったこともあるよ。 リーマンショックがトドメとなり、営業としてまっとうな企業に正面から入社できる確率よりも、自分で作った方が確率高い(リスクも低い)なってことで起業。 業界の知見だけはあるのでそれを活かしてWantedlyブログやTwitter。まあまあバズったのと、ほかにもいろいろで、自前ブログに記事を載っけていくことにした。

.jpg)

